【掲載】化学工業日報新聞-ペプチド医薬事業を拡大

化学工業日報新聞(2016年8月10日)より

 
創薬から原薬生産まで手掛ける浜理薬品工業。ペプチド医薬事業にも積極的で、受託製造の受注が増えてきたため生産能力増強の検討も始めた。低分子医薬品事業も新薬、後発品の双方が好調なほか、健康・美容素材も大きく伸長するなど事業全般が拡大傾向にある。2018年9月期に計画している売上高100億円も1年前倒しで達成しそうな勢い。「これから設備投資ばかりになる」とうれしい悲鳴をあげる髙美時郎社長に今後の展望を聞いた。
 
-ペプチド医薬事業に精力的です。
「3年前から本格的に事業に力を入れ出した。08年頃には創薬向けの小規模なビジネスだけだったが、現在はペプチド医薬の市場拡大もあり、コマーシャル品(原薬)の製造を手掛けるまでになった。当社は原料となる非天然アミノ酸も製造しており、一貫してユーザーの要望に対応できる体制が構築できている」
 
-ペプチド医薬は柴島工場(大阪市)から移管した品目などを子会社のチトセ浜理薬品(北海道千歳市)で生産しています。
「今年1月からGMP対応の受託製造棟が本格稼働した。新薬向けも後発品向けもある。高活性タイプの製造にも対応しているのが特徴だが、需要が多く稼働率は非常に高い。ペプチド医薬事業を育成するために営業から技術、設備を巻き込んだプロジェクトチームを立ち上げたが、活動するまでもなく受注に追われている」
 
-能力の増強は。
「すでに検討に入っている。17年中にもチトセ浜理薬品の敷地内に稼働させたい。既存製造棟は高活性タイプの製造も可能なため、新規増設は一般のペプチド医薬品の製造設備とするかもしれない。投資額は既存建屋の改造か新設のいずれかで変わってくる」
 
-低分子医薬事業の状況は。
「当社の売り上げの大半を占める事業だが、ユーザーである製薬企業の治験が終了し、薬事承認が下りるなど原薬ビジネスが拡大している。後発品も市場拡大に合わせて伸びており、全体的に調子がいい」
 
-健康・美容素材も扱っています。
「新薬向けの医薬中間体を製造する過程で生まれた筋肉成分のイミダゾールペプチドなどだ。サプリメントをはじめ化粧品向けにも販売しており、前期の売り上げは前々期比で30%も伸長した」
 
-18年9月期の目標に掲げる売上高100億円は今期にも達成できそうです。
「設備投資が今後のテーマだ。ただ、売上高は無理して狙わない。それよりユニークでオンリーワンの存在を目指す」
 
-米国サンディエゴに拠点がありますが、役割は。
「12年から実質的に稼働している。現地では北米だけでなく欧州の製薬ベンチャーが立地し、当社はケミスト6人を含む8人体制で創薬やプロセス開発のお手伝いをしている。日本の研究者も2人派遣しており、語学研修を兼ねた教育の場としても機能している。低分子医薬がメインだが、一部で核酸医薬関連も手掛けている。量的な生産が必要になれば日本で受けるだろう」

    2016年8月18日