【掲載】薬事日報新聞-製造3拠点体制により事業拡大 高活性ペプチド原薬製造設備稼働

薬事日報新聞(2016年6月24日)より

 
医薬原薬・中間体メーカーの浜理薬品工業(大阪市)は、子会社のチトセ浜理薬品で、高活性ペプチド原薬をターゲットとした少量原薬製造設備の稼働を開始した。生産能力は1バッチ当たり100グラム~1キログラムで、ペプチド原薬として売上高10億円を目指している。今後、米国向けペプチド原薬の製造を予定しており、既にFDAの認証を受けている米沢浜理薬品工業に続き、チトセ浜理薬品においてもFDA認証取得に向けて対応を進めていく予定である
 
浜理薬品工業の生産拠点は国内に3拠点(大阪市、山形県米沢市、北海道千歳市)、研究所は国内に2拠点(大阪市、神戸市)、海外に1拠点(サンディエゴ)を持つ。大阪本社の工場は開発を中心に、米沢浜理薬品工業(山形県米沢市)は生産規模の大きい原薬の生産、チトセ浜理薬品は中規模の原薬の生産と、高活性を含む少量ペプチド原薬を生産する工場に位置づけている。米沢浜理薬品工業の生産品は、国内のみでなく、アメリカやヨーロッパにも輸出しており、世界各国の厳しいレギュレーションにも対応している。浜理薬品グループでは、現在は売り上げの90%を国内が占めているが、今後は海外への売り上げ比率を高めていきたいと考えている。
 
主力生産拠点である米沢浜理薬品工業では、自動倉庫の建設に引き続き、ジェネリック医薬品の需要増に対応するため、第3工場棟に約3億円を投じて最新の反応設備を導入し、生産能力を1.5倍に高めた。また、スペースの空いた旧倉庫棟を改造して原薬のジェットミル粉砕設備の導入、乾燥設備の増強工事中である。
 
浜理薬品工業はペプチド医薬品の製造を得意としており、液相法での合成はもちろん、チトセ浜理薬品に新たに構築した設備では固相法でのペプチド合成も可能となった。また、特殊なペプチド医薬原薬に必須な原料となり得る非天然アミノ酸を、独自開発した新規リガンドを用いて製造する事業の拡大も行っている。現在、原料の非天然アミノ酸の製造からペプチド合成まで一貫製造できる体制の構築を進めている。
 
2015年には製造販売業許可を取得し、医薬品製剤の取り扱いを開始した。医薬品以外では、化粧品原料や食品添加物の製造販売、健康食品の企画販売も行っており、健康支援企業として業務展開を図っている。チトセ浜理薬品には天然物からエキスを抽出する設備を有しており、主に北海道産の野菜、果汁からの抽出を行っている。
 
15年1月には関西経営品質賞・優秀賞を受賞し、3拠点体制による多数の設備と各工場の特徴を生かした品質保証システムを構築してきた。関西経営品質賞は、顧客本位、独自能力、社員重視及び社会との調和の4つの要素に基づいて経営革新を目指している企業を表彰する制度で、同社は今回2度目の受賞であり、優良企業を目指した取り組みを継続している。
 
髙美時郎社長は、「お客様のニーズにさらに対応していくために、自社設備の増強に加えて、国内外のビジネスパートナーとも強い連携を深め、同社のミッションに掲げている『お客様が共に仕事をしたいと熱望する企業』を目指していきたい」と意欲を見せている。

    2016年7月8日