【掲載】化学工業日報(1) ”ペプチド医薬事業拡大~北海道拠点に設備導入 高活性タイプ集中~”

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2015年4月16日掲載「化学工業日報」

 

医薬原薬・中間体メーカーの浜理薬品工業(大阪市)は、ペプチド医薬事業を拡大する。北海道千歳市の子会社工場に2億5000万円を投じて高活性ペプチド医薬原薬の製造設備の導入を進めており、まず柴島工場(大阪市)で製造する2品目を移管し今秋にも試作を始める。生産能力は1バッチ100グラム〜数キログラムで、2019年までに高活性タイプを中心に品目を拡大させ、売上高10億円を目指す。非天然アミノ酸の原薬への採用や製剤化への進出も視野に入れ、28年にはペプチド医薬事業の売上高を70億円に引き上げる計画としている。

 

12年に日本新薬の千歳工場を買収して設立したチトセ浜理薬品は医薬原薬、中間体、食品素材などを製造している。今後、同工場内にGMP対応のペプチド医薬原薬の製造工程を構築する。粗体ペプチドの合成設備はUPLC/HPLCや20㍑の液相合成機、凍結乾燥機で、分取精製や濃縮設備は20㍑の大型エバポレータ、高圧、中圧クロマト分取装置およびカラム2基、10㍑固相合成基を設置したドラフト装置。ろ過、乾燥、包装を行う最終製品化工程の設備も整える。

 

今年9月に完成し、10月に生産を開始する予定。19年までに柴島工場からの移管品および新規開発品など最大5~6品目を生産する考え。柴島工場は開発を中心に担い、米沢浜理薬品工業(山形県米沢市)は生産規模が大きく、アミノ酸鎖が短いジペプチドなどの生産工場、チトセ浜理薬品は高活性タイプを中心とした生産工場に位置付ける。19年の同事業全体の売上高は現在の倍となる20億円を見込んでおり、20年以降は製剤化工程まで事業領域を拡大することも視野に入れている。

 

ペプチド医薬は患者のQOL(生活の質)を低下させない注射器の開発や薬剤を患部に届ける製剤化技術の向上により市場拡大が見込まれている。ペプチド医薬原薬の世界市場は20年に10億㌦、28年には24億㌦に成長するとの予測もある。浜理薬品ではペプチド医薬原薬に新規リガンドを用いて製造する非天然アミノ酸の採用も進めて事業拡大に弾みをつける考え。非天然タイプはD体と呼ばれ、体内に存在するL体と比べて消化酵素の影響を受けにくく、薬効の持続性が高まると期待される。

    2015年5月28日