今回はHAMARIの加湿脱溶媒手法についてご紹介します。
原薬製造現場の乾燥工程において、残留溶媒が低減できない・減圧乾燥での再現性が得られない・乾燥状態の化合物安定性が悪いなどの問題が発生する場合があります。
このような問題を解決する手法の一つとして、調湿乾燥法が知られています。
調湿乾燥法とは、残留溶媒を含む化合物を一定の湿度に保たれた空間に置き、化合物中の溶媒分子を水分子と置換させることで残留溶媒を低減する手法です。
しかしながら、従来手法による棚段乾燥機を用いた調湿乾燥では、実機における湿度の保持・均一性の確保・乾燥終点の管理が難しく、スケールアップが困難であることが大きな課題でした。
そこで弊社では改良手法として、ろ過乾燥機を用いる加湿脱溶媒法を採用しています。
加湿脱溶媒法では、あらかじめ調製した加湿気体を残留溶媒を含む原薬に通気することで、溶媒分子を水分子へと置換します。
加湿脱溶媒法は従来手法と比較して、湿度・温度・均一性・乾燥終点の管理が容易であり、さらに溶媒分子から水分子への置換効率が非常に良いという特長があります。
弊社での加湿脱溶媒の実施例として、残留溶媒≧3000ppmの原薬Aを加湿脱溶媒した後、置換した水分を減圧乾燥で除去することにより、不純物の増加を抑えつつ残留溶媒<200ppmまで低減した事例があります。
また、残留溶媒とともに水分値の規格が設定された原薬Bに対して加湿脱溶媒を行い、溶媒を除去しつつ水分値を調整することで、規格に適合した原薬Bを得た事例もあります。
最大20 kgの実施スケールに対応可能です。低分子からペプチドまで様々な実績があります。
弊社では、湿度・温度・流速の調整が可能な自社設計の調湿装置を保有しています。
これをろ過乾燥機と組み合わせることにより、ろ過から脱溶媒・減圧乾燥までを一貫して閉鎖系で行うことができ、異物混入や作業者へのリスクを回避可能です。
実際に加湿脱溶媒を適用する際には、対象化合物の物性・品質に関するアセスメント、通気する気体の湿度・温度・流速などのパラメータ検討、乾燥終点管理のための条件設定が必要となります。
これらはご相談いただければすべて弊社にて対応します。
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