HAMARI Stories

ポラプレジンク 新薬開発への挑戦

HAMARIとL-カルノシン

HAMARIは1972年よりL-カルノシンの製造を行っており、欧州に栄養剤として輸出していました。この頃、日大 永井先生によりL-カルノシンの抗炎症作用が発見されました。
そこで、HAMARIから永井先生にL-カルノシンを提供するようになり、有用な情報が得られるようになりました。その後、永井先生や他の研究者からも抗潰瘍作用についても報告されるなど、L-カルノシンの抗潰瘍作用が注目され始めました。

亜鉛に注目

一方海外では、1978年 クエン酸ビスマス錯体を用いた十二指腸潰瘍治療の臨床試験が行われるようになり、金属薬剤、特に亜鉛に対する期待が高まっていました。
このような背景下、1980年 抗炎症剤の権威である岐阜大医学部 藤村先生に、HAMARI からL-カルノシンの薬理作用を紹介する機会がありました。その際、「L-カルノシンにも亜鉛にも抗潰瘍作用があるので、一体化することにより相乗効果が出るのでは?」というアイデアから、L-カルノシン亜鉛錯体の抗潰瘍作用に関する共同研究を開始することになりました。

結晶性のL-カルノシン亜鉛錯体

当初はL-カルノシン亜鉛錯体のアモルファス体を研究対象としていましたが、非水条件下にメタノール中で合成すると化学構造の異なる結晶性L-カルノシン亜鉛錯体が得られました。この錯体は、動物試験でアモルファス体や同種の市販抗潰瘍薬よりもはるかに優れた作用を持つことが判明しました。そこで、この新規な結晶性亜鉛錯体を開発化合物として、ゼリア新薬様と共同開発を進めることにしました。

ポラプレジンク
ポラプレジンク

世界初の合成亜鉛錯体薬「ポラプレジンク」

このように、結晶性亜鉛錯体が得られたことが開発のキーポイントとなりました。その後、1987年に物質特許を出願。1994年に、一般名「ポラプレジンク、polaprezinc」と命名、同年ゼリア新薬様よりポラプレジンクを有効成分とする新規抗潰瘍薬「プロマック」の販売が開始され、当社にとって初めての新薬開発への挑戦が14年越しに実を結びました。

L-carnosine 論文
L-カルノシン亜鉛錯体に関する論文(一部)

なお2002年には、「第26回発明大賞石井考案功労賞」ならびに「2000年度基礎錯体工学研究会技術賞」を受賞するという栄誉にあずかりました。

トロフィー
トロフィー(左:第26回発明大賞石井考案功労賞 右:2000年度基礎錯体工学研究会技術賞)

HAMARI Stories にもどる