ニュースリリース

【掲載】化学工業日報新聞-ペプチド医薬品増産検討 17年後半めどに3倍

化学工業日報新聞(2016年7月7日)より

 
浜理薬品工業は、ペプチド医薬原薬の増産に向けた検討に入った。昨年本格稼働した子会社のチトセ浜理品(北海道千歳市)の専用棟で製造しているが、ペプチド医薬市場の成長にともない受注が拡大しフル稼働となっている。来年9月まで生産計画が埋まっており、今後も需要の増加が見込まれる。このため2017年後半をめどに生産能力を現行の3倍に拡大する考え。能力増強を弾みに、ペプチド医薬事業で19年目標の売上高10億円の達成を目指す。
 
浜理薬品工業は売り上げの85%を医薬品関連事業が占めている。低分子医薬品では、創薬から原薬までの製造および受託を手掛ける。ペプチド医薬事業は3年前から本格化しており、15年にはチトセ浜理薬品にGMP対応の量産設備を設け、今年1月から稼働した。同製造棟は固相、液相の反応から精製、濃縮、ろ過、凍結乾燥、梱包までの一貫体制を敷いており、グラムからキログラムまで幅広いスケールの生産に対応できる。
 
チトセ浜理薬品の製造棟は新薬、後発品を問わず複数の製薬企業などから受注が相次ぎ、高い稼働率を継続。新規案件を受け切れない。このため17年中にも敷地内のスペースを活用し、製造体制を強化する方針。投資額は未定で今後、既存建屋の改造あるいは新設の、いずれかの方向性を見極める。既存製造棟は高活性タイプの製造も可能なため、新規増設は一般ペプチド医薬の設備とする構想も描いている。浜理薬品工業の売上高のうち、ペプチド医薬事業は5%程度を占める。長期経営計画(18年9月期最終)を策定した08年当時は創薬支援にとどまっていたが、近年はユーザーとの開発品が市場投入されるなど原薬製造にまで領域を広げている。

    2016年7月8日


【掲載】薬事日報新聞-製造3拠点体制により事業拡大 高活性ペプチド原薬製造設備稼働

薬事日報新聞(2016年6月24日)より

 
医薬原薬・中間体メーカーの浜理薬品工業(大阪市)は、子会社のチトセ浜理薬品で、高活性ペプチド原薬をターゲットとした少量原薬製造設備の稼働を開始した。生産能力は1バッチ当たり100グラム~1キログラムで、ペプチド原薬として売上高10億円を目指している。今後、米国向けペプチド原薬の製造を予定しており、既にFDAの認証を受けている米沢浜理薬品工業に続き、チトセ浜理薬品においてもFDA認証取得に向けて対応を進めていく予定である
 
浜理薬品工業の生産拠点は国内に3拠点(大阪市、山形県米沢市、北海道千歳市)、研究所は国内に2拠点(大阪市、神戸市)、海外に1拠点(サンディエゴ)を持つ。大阪本社の工場は開発を中心に、米沢浜理薬品工業(山形県米沢市)は生産規模の大きい原薬の生産、チトセ浜理薬品は中規模の原薬の生産と、高活性を含む少量ペプチド原薬を生産する工場に位置づけている。米沢浜理薬品工業の生産品は、国内のみでなく、アメリカやヨーロッパにも輸出しており、世界各国の厳しいレギュレーションにも対応している。浜理薬品グループでは、現在は売り上げの90%を国内が占めているが、今後は海外への売り上げ比率を高めていきたいと考えている。
 
主力生産拠点である米沢浜理薬品工業では、自動倉庫の建設に引き続き、ジェネリック医薬品の需要増に対応するため、第3工場棟に約3億円を投じて最新の反応設備を導入し、生産能力を1.5倍に高めた。また、スペースの空いた旧倉庫棟を改造して原薬のジェットミル粉砕設備の導入、乾燥設備の増強工事中である。
 
浜理薬品工業はペプチド医薬品の製造を得意としており、液相法での合成はもちろん、チトセ浜理薬品に新たに構築した設備では固相法でのペプチド合成も可能となった。また、特殊なペプチド医薬原薬に必須な原料となり得る非天然アミノ酸を、独自開発した新規リガンドを用いて製造する事業の拡大も行っている。現在、原料の非天然アミノ酸の製造からペプチド合成まで一貫製造できる体制の構築を進めている。
 
2015年には製造販売業許可を取得し、医薬品製剤の取り扱いを開始した。医薬品以外では、化粧品原料や食品添加物の製造販売、健康食品の企画販売も行っており、健康支援企業として業務展開を図っている。チトセ浜理薬品には天然物からエキスを抽出する設備を有しており、主に北海道産の野菜、果汁からの抽出を行っている。
 
15年1月には関西経営品質賞・優秀賞を受賞し、3拠点体制による多数の設備と各工場の特徴を生かした品質保証システムを構築してきた。関西経営品質賞は、顧客本位、独自能力、社員重視及び社会との調和の4つの要素に基づいて経営革新を目指している企業を表彰する制度で、同社は今回2度目の受賞であり、優良企業を目指した取り組みを継続している。
 
髙美時郎社長は、「お客様のニーズにさらに対応していくために、自社設備の増強に加えて、国内外のビジネスパートナーとも強い連携を深め、同社のミッションに掲げている『お客様が共に仕事をしたいと熱望する企業』を目指していきたい」と意欲を見せている。

    2016年7月8日


【総説掲載】Eur. J. Org. Chem. 2016, 16, 2757–2774.

Tailor-made α-amino acids in the pharmaceutical industry: Synthetic approaches to (1R,2S)-1-Amino-2-vinylcyclopropane-1-carboxylic acid (Vinyl-ACCA). 
Eur. J. Org. Chem. 2016, 16, 2757–2774. DOI: 10.1002/ejoc.201600112
 
抗ウイルス薬の鍵中間体であるビニルシクロプロパンアミノ酸の合成法に関する総説です。
本総説では、C型肝炎ウイルス(HCV)NS3/4Aプロテアーゼ阻害剤の重要なビルディングブロックである (1R,2S)-1-amino-2-vinylcyclopropane-1-carboxylic acid (vinyl-ACCA)の合成に関して、浜理独自のアミノ酸不斉合成技術を活用した効率的な合成法を中心に、これまでに報告されたvinyl-ACCAおよび関連化合物のすべての合成方法が網羅され、それぞれの特徴が要約されています。
 
今回の総説に紹介されている、浜理独自のアミノ酸不斉合成法に関する研究成果の詳細は以下の論文をご参照ください
 

  1. 1. Advanced asymmetric synthesis of (1R,2S)-1-amino-2-vinylcyclopropanecarboxylic acid by alkylation/cyclization of newly designed axially chiral Ni(II) complex of glycine Schiff base. 
    Amino Acids 2016, 48, 973–986. DOI: 10.1007/s00726-015-2138-3
  2.  

  3. 2. Asymmetric synthesis of (1R,2S)-1-amino-2-vinylcyclopropanecarboxylic acid by sequential SN2–SN2’ dialkylation of (R)-N-(benzyl)proline-derived glycine Schiff base Ni(II) complex. 
    RSC Adv. 2015, 5, 1051–1058. DOI: 10.1039/C4RA12658K
  4.  

  5. 3. Chemical dynamic kinetic resolution and S/R interconversion of unprotected α-amino acids. 
    Angew. Chem. Int. Ed. 2014, 53, 12214–12217. DOI: 10.1002/anie.201407944

 
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    2016年4月11日